家電チャンピオン・中村剛の家電のはなし・暮らしのアイデア

空気清浄機編-1-


花粉、黄砂、PM2.5…と、空気の汚れが気になる季節。
マスクの着用やこまめな掃除などの基本の対策に加えて
注目したいのが、「空気清浄機」です。
選ぶ際は、どんなポイントに着目すればいいのか。
家電チャンピオン・中村剛が、空気清浄機の“基本”を紹介します!

外出から帰宅し、マスクを外している女性のとなりで運転している空気清浄機。
花粉の季節に知っておきたい空気清浄機の基本
本当に使って意味があるの?空気清浄機の働きとは

1990年代半ばから注目を集めてきた空気清浄機。現在の普及率は45%ほどとなり、すでに一般的な家電となったといえそうです。ただ、“空気のきれいさ”というのは目に見えるものではないので、「本当に使って意味があるの?」と感じている人も多いかもしれませんね。
そこで、まず前編では、空気清浄機とはどんな仕組みで空気をきれいにしているか、を紹介したいと思います。

汚れを漉す(こす)/汚れを無力化する空気清浄機の方向性は大きく2つ

空気清浄機の基本的な働きには、大きくは「汚れを吸い込んで漉す(こす)」と「汚れに働きかけて不活化させる」という、2つの方向性があります。まずはその違いを見ていきましょう。

①汚れを漉す「ファン方式」「電気集じん方式」
汚れを集めて溜める、という方法として最も一般的なのが「ファン方式」です。これはファンにより室内の空気を強制的に吸い込んで、花粉やホコリなどの浮遊物質をフィルターで濾過、汚れを取り除いてきれいな空気を排出する、という仕組み。現在店頭で見かける多くの製品がこの方式を採用しています。
また、汚れを集める方法として、高圧放電によってホコリを帯電させて集じん極に吸着する、という方式(簡単に言うと静電気を起こしてホコリを吸着する方式)を採用しているのが、「電気集じん方式」です。「電気集じん方式」も、その後フィルターを通すことで汚れを濾し、きれいな空気を排出、という流れは同じです。ダイキン工業のストリーマ機能は、集めた汚れを分解する機能なので、結果フィルターが長持ちします。
ファン方式・電気集じん方式の仕組み
②イオンの力で汚れを不活化させる「イオン発生方式」
もう一つの方向性として、汚れ自体を不活化させる「イオン発生方式」があります。これは空気中にイオンを放出することで、浮遊物質の働きを無力化するという仕組みです。シャープの「プラズマクラスター」やパナソニックの「ナノイー」などの技術がこれにあたります。 

以上の方式のうち、どれがよりよいかは一概にはいえませんし、使う目的や環境によって適する製品は変わってきます。製品ごとの特性を使用シーンに照らし合わせて選択してください。ちなみにいずれの方式の製品にしろ、空気清浄機には、換気効果は一切ありません。特に燃焼系の暖房などを併用する場合は、必ず“換気”を怠らないようにしましょう。
シャープ「プラズマクラスター」の仕組み

選ぶ際に見たいポイントは「適用床面積」と「フィルター交換の目安」

次に、「適用床面積」と「フィルター交換の目安」に注目してみてください。

「適用床面積」とは“30分できれいにできる”面積のこと
「適用床面積」とは、「~8.5畳(14㎡)」「~32畳(53㎡)」「48畳(~79㎡)」…などで表示されています。これは“規定の粉塵濃度(タバコ5本分の煙に含まれている粒子成分とガス成分)の汚れを30分で基準値以下にできる部屋の広さ(天井高は2.4m)”を示しています。ここで注意したいのが、「『~8畳』=8畳の部屋用」ということではないということです。部屋の広さが8畳だから、『~8畳』を選ぶと、部屋の清浄時間に30分以上かかることになります。仮に「~42畳」を使えば、約1/5の清浄時間、つまり6分程度で同様の効果が得られるということになるのです。
では適用床面積が大きければ大きいほどよいのか、というと、もちろんそうとも言えません。性能が上がればその分本体も大きくなり、価格も高価に。部屋の状況や予算などにもよりますが、適用床面積は使いたい部屋の面積のおよそ2倍程度、を一つの目安として頭に置いておくとよいかと思います。

「フィルター」のメンテナンスとランニングコストにも注目
使い続けるものなので、メンテナンス方法やランニングコストも見逃せないポイントです。
空気清浄機の場合、定期的に気にしていかなければならないのがフィルター。フィルターは、多くの製品が、大きなホコリやゴミを集める「プレフィルタ―」、細かい浮遊物質を集める「集じんフィルター」、活性炭を使った「脱臭フィルター」の3層構造でできています。

「プレフィルター」「脱臭フィルター」は、掃除機での吸い取りや水洗いなど家庭でのお手入れが可能なタイプと、使い捨て交換タイプがあります。ランニングコストを考えるとお手入れ可能なタイプがよいようにも感じますが、面倒という人は使い捨てタイプがわかりやすく、手間がかからずよいかもしれません。
さらに最近では「プレフィルタ―」の掃除を自動で行うという製品も登場しました。いずれにしろ「プレフィルタ―」が清潔な状態で正しく機能すれば続く「集じんフィルター」の負担の軽減にもなるため、
適切なケアが必要です。

プレフィルタ―掃除の手間なし!
加湿空気清浄機「自動おそうじ クリエア EP-MVG110」HITACHI
加湿空気清浄機「自動おそうじ クリエア EP-MVG110」HITACHI
一方、空気清浄機の肝でもある「集じんフィルター」は、非常にデリケートな素材を使用しているため洗浄などのお手入れができず消耗品です。「~2年交換不要」「~10年交換不要」などで表示されているフィルター交換の目安は、集じん能力が初期の半分になるまでの理論上の数字を示したもの。これはあくまで1日に出る汚れをタバコ5本分の煙に含まれているもののみで計算したものであるため、日常的に使用した場合はもっと早く汚れてしまうものと想定するべきかと思います。部屋のなかは思いのほか汚れているもの。私自身、フィルターを見てみると真っ黒になっていて驚くことも…。

目詰まりしてしまったフィルターを使い続けると、空気清浄の能力が落ちてしまいます。多少の手間やランニングコストがかかってしまうのは空気清浄機の宿命です。使うからには使用方法を守って、きれいな空気を実感できるようにしたいですよね。

使最大のポイントは設置場所で空気が循環するか?

選ぶ際には使用場所について必ず考慮をしてください。
製品ごとに空気の吸い込み口・吹き出し口の場所は異なります。吸い込み口や吹き出し口のすぐ目の前にモノが置かれてしまうと空気が循環せず、まったく意味がなくなってしまいます。使用場所にある程度制限がある場合は、まずその点を一番に考えて製品選びをしてください。

前編では、空気清浄機の基本的な仕組みと選び方の注目ポイントを紹介しました。ただ近年は多機能な製品も増え、今回紹介した情報だけだとまだまだ選択肢を絞れない人も多いはず。
そこで次回は、実際にどの製品がおすすめかを目的ごとに紹介したいと思います。

「クリアフォースZ MCZ7OT」ダイキン工業

[家電チャンピオンのネタ帳]

除加湿機能付きのオールインワン

1990年代半ばから一般化した空気清浄機は、2000年代にはイオン放出機能や加湿機能が搭載されたハイブリッド化が進展しました。その最高峰に位置するのが、ダイキン工業の「クリアフォースZ MCZ70T」に代表される、加湿だけでなく除湿も付いたオールインワンの空気清浄機。1年を通して活躍するものなので、1台で除湿・加湿とも担い、空調環境をより快適に整えられるものを、という発想です。花粉やPM2.5などの対策で春先の洗濯物は部屋干し派、という人はぜひ注目してみてください。

中村 剛 (なかむら つよし)

東京電力エナジーパートナー株式会社


2002年、テレビ東京系列で放送された人気番組『TVチャンピオン』のスーパー家電通選手権で優勝。「くらしTEPCO」の中で家電製品の情報を一元管理できるコンテンツ「家電アシスト」の開発も担当している。家電のほか、無類のネコ好き。

関連リンク

くらしTEPCO会員登録 ・・・会員にご登録いただくと、すべてのコラムを閲覧いただけます