もう古くなってきたことだし、この家電もそろそろ買い替え時かな?
そう思った次の瞬間、ふと頭をよぎるのが「モッタイナイ」という気持ち。
その背景には「まだ使えるのに、どうして捨ててしまうの?」という
私たちの気持ちがあるのだと思います。
モノを大切に使うことは素晴らしいことです。
しかし「捨てる」=「ゴミになる」ということでもないのです。

 今日ではさまざまな分野でリサイクル活動が進んでいます。家電においてこの活動の流れをつくったのが2001年に施行された家電リサイクル法です。この法律が施行された背景には、資源の有効活用ということがあります。それは、使い終わったモノを廃棄するのではなく、きちんと回収し分解して、再資源化した上で、また新たなモノをつくる材料にしようとするもので、この法律が対象としているのはエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機といった、いわば、必需品的な家電製品です。レアメタルと呼ばれる希少な金属に限らず、プラスチック素材についてもリサイクル率を高め、ゴミ問題にも貢献する。具体例を挙げると、すでに重量ベースで洗濯機の65%以上、エアコンの70%以上がリサイクルに活用されています。

 リサイクルはモノを作る側と使う側の共同作業です。このため、この法律によりエンドユーザーもリサイクルコストの一部を負担することになりました。でもそれはゴミ処理のためではなく、再資源化のためのコスト負担といえます。永続的にモノを大切に使うための役割を担っています。
 また、モノづくりの思想そのものも変わり、これまでどおり性能のいい製品を作るのはもちろんですが、役割が終わったら分解して再資源化できるようなアイデアが盛り込まれるようになったのです。再資源化しやすい素材を選んだり、パーツを少なくしてシンプルな構造にし、分解しやすさを求めました。
 ちなみに家電リサイクル法がスタートしてから、今年で16年になりますが、エアコンのリサイクル料金が2016年4月1日より改定され、安くなりました。 これはリサイクルへの理解が深まり、資源をより高効率に利用できるようになったことの証。作る側、使う側が真摯に取り組んできた成果です。
 さて、この視点で見ると「買い替え」が「捨てる」という行為とは異なるものとわかります。使えるものは大切に使う。しかし製品が自分の生活スタイルに合わなくなってきたら、我慢を続けて自分の手元に留めず、再資源化して社会に戻す。そんな好循環が生まれてくると素敵です。

 ここからはおよそ10年前と今のモデルの性能の違いについて解説します。まず冷蔵庫ですが、昨今では断熱性能が格段に上がりました。したがって外寸は変わらないのに、収納力が大幅に向上しています。
 庫内のスペースが広くなることで、使い勝手そのものが良くなり、さらにはチルド室、パーシャル室といった機能スペースを新設することが可能になりました。解凍、冷凍、作り置き、常備菜の保管、そして時には冷蔵庫が調理道具にもなり、私たちの生活により深く関わるようになっています。また、リビングとダイニングが一体となる間取りが一般的になったことから、冷蔵庫の外観もインテリアとして位置づけられて、最近はガラスドアが流行りです。

 次にテレビを例に挙げます。ここ数年間で液晶ディスプレイの画素数は飛躍的に向上しました。10年前はまだフルHD液晶がとても高価なものでしたが、今ではその先の4K、8Kへと技術が進んでいます。
 もちろん画像処理スピードも向上しています。かつての液晶ディスプレイは、細かなものが素早く動くと画像が不鮮明でした。歌番組の花吹雪、試合中のサッカーボールの動きといった描写が不得意だったのですが液晶技術や画像処理技術の進歩によりこの弱点も克服しています。
 また昨今では、再びプロジェクターで部屋の壁に映像を投影するスタイルも注目されています。プロジェクターの電球がLEDになり、ファンレス等で不快な回転音も減りました。ほかにWi-Fi技術を利用してスマホにストリーミング中継させることも実現しています。テレビは趣味趣向に沿った視聴スタイルを自在に選べるようになっているのです。

 冷暖房やテレビだけでなく、多くの新しい家電製品は、電力消費量も低減されています。より使いやすく便利に、あるいは、より快適な製品開発が行われることと同時に、省エネルギー技術も進化しています。冷暖房やテレビなどは、同サイズ・同機能であれば、消費電力量は小さくなっています。
 家族が増えれば、冷蔵庫はより大きなサイズが便利ですし、テレビも大きな画面ほど臨場感や迫力が違います。洗濯機なども含めて、サイズがポイントになるタイプの家電製品は、少し先の将来、家族の成長やライフステージの変化を想像しながら、快適さを考え、未来志向で商品を選択する必要があります。
 もう一つ、「買い増し」という選択肢についてです。例えば、掃除機。かつては一家に一台が一般的でした。しかしキャニスタータイプ、スティックタイプ、ロボット掃除機等のバリエーションが出揃っています。
 特に戸建てにお住まいのご高齢者の場合、掃除機を持って階段を上り下りすることを避けるために、1階、2階にそれぞれ掃除機を置いている方もいらっしゃいます。階段に手すりをつけることに加えて、掃除機をフロアごとに用意しておく、というのも非常に快適です。自分や家族にとって快適であることを充分見極めて買い増しを検討してみてはいかがでしょうか。

 さて、ここまで家電の買い替えについての話をしてきましたが、そもそも家電とは私たちにとってどのような存在なのでしょうか?大きく、下記の3グループに分けることができます。

(1)家事労働をサポートしてくれる家電(掃除機、IHクッキングヒーター、電子レンジなど)
(2)趣味を楽しむ家電(テレビ、DVDプレーヤーといったAV機器類など)
(3)健康でいるための家電(エアコン、空気清浄機、加湿器など)

 これらの目的に合わせてアシストしてくれる「魔法の箱」が家電。その目的を果たせなくなった時が、買い替えを検討する好機と言えます。
 また、家電は“私たちの生活”に登場する舞台装置でもあります。シーンが変われば装置は入れ替わっていくものです。主人公はあくまで私たち自身なので、ニーズに合わせて、家電は賢く買い替えてはいかがでしょうか。

 それでは今回も、この一句で締めたいと思います。

中村 剛 (なかむら つよし)

東京電力エナジーパートナー株式会社


テレビ東京系列で放送された人気番組「TVチャンピオン」のスーパー家電通選手権において2002年に優勝。「くらしTEPCO」の中で家電製品の情報を一元管理できるコンテンツ「家電アシスト」の開発を担当している。

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