こだわりMy Style日曜日の家 Vol.017

今や夏の猛暑日はあたり前となり、事実この100年で日本全体の平均気温は1℃、東京都では3℃も上昇しています。
都会のヒートアイランド現象を抑制するために都市緑化が注目されている現在、
夏を少しでも過ごしやすくするため、私たちが暮らしの中でできる身近な緑化を考えてみませんか。

住宅の窓を覆う、植物のツルを這わせた「緑のカーテン」
身近な緑を増やしてエコな暮らしを考える
緑化による
ヒートアイランド対策

近年、都心部では、ヒートアイランド現象と呼ばれる気温が周囲よりも上昇してしまうことが問題になっています。東京都では、ヒートアイランド現象を少しでも緩和しようと、2001年から条例で1000m2以上(公共施設は250m2以上)の敷地に建物を建てる(増改築含む)際に緑化を義務付けるようになりました。こうしたこともあり、屋上や壁面を緑化した建物が増えてきました。

ヒートアイランド現象の概念図

東京都で長年ヒートアイランド対策を行ってきた法政大学の山口隆子准教授は、緑化の効果について次のように説明しています。「緑は直射日光を遮るだけでなく、光合成によって太陽のエネルギーを使い、蒸散作用で熱を奪います。緑が増えることで、涼しく感じるのはこのためです。」

環境にもやさしい
緑のカーテン

家庭で簡単に取り入れられる緑化といえば「緑のカーテン」が代表的です。最近はゴーヤや朝顔、キュウリなどで緑のカーテンを作っているご家庭も多いのではないでしょうか。山口准教授に緑のカーテンをつくる際のポイントをお聞きしました。「緑のカーテンを作るなら、秋には枯れてしまう植物を選ぶのがおすすめです。夏には緑のカーテンが日差しを遮り、秋冬には枯れてしまうことで暖かい日差しを室内に取り込むことができるからです。また西日を遮るために西側に緑のカーテンを作っているご家庭もありますが、西側は植物が育ちづらいという難点があります。そんなときは観葉植物をベランダや窓辺に置いてみましょう。それだけでも植物が熱を使ってくれるため、体感温度が変わります。」

緑のカーテンを這わせた窓を室内から見た様子

また緑のカーテンのような家庭で行う緑化でも、環境保全に繋がることにも注目です。小規模な緑化でも、生き物の生息空間の確保ができるようになり、生物多様性が実現できるからです。そのためにも、緑化をする際は外来の植物ではなく、その地域に昔から生息している植物を植える方がよいと山口准教授は話します。「本来の植生でないと、そこに住んでいる虫や鳥が生きていけなくなってしまいます。都心でしたら緑化が広がることで、例えば皇居のような緑が多い場所で生息していた昆虫や鳥が1~2km離れた場所に移動することができるようになります。」

市区町村単位で行う
緑化への取り組み

一般住宅の緑化については、地方自治体もサポートしています。緑のカーテン作りのために、苗の配布や講習会の開催(東京都環境局)、屋上や壁面、駐車場の緑化、花壇、生け垣などに助成金を交付しているところもあります。また、都道府県では、緑化を実施している企業に対して税軽減や補助金交付などを行っているほか、緑化事業や緑化活動の支援事業も推進しているところもあります。このようなさまざまな取り組みにより、東京都では、2001年〜2016年の間に、280ヘクタールの緑地が増えました。「これは日比谷公園(約500m×300m)の17個分にあたります。通常公園を作るには、法的な認可を受けてから開園するまでに30年かかるのですが、1年に日比谷公園ひとつ分ずつ増えたことになります。」こうした取り組みは、東京だけでなく、神奈川、千葉、埼玉ほか、大阪や京都などの大都市圏でも行われるようになっています。
このように行政でも一般のご家庭でも緑化が進んでいくことで、都市全体がより涼しく、暮らしやすくなることを期待したいものです。

屋上緑化例の写真。コンクリートの表面温度と植物の表面温度の差は9度もある。
山口隆子(やまぐち
たかこ)准教授

山口隆子(やまぐち たかこ)准教授
1972年、東京都生まれ。1995年お茶の水女子大学文教育学部卒業。
東京都建設局において、都立公園・霊園・動物園の設計・維持管理を担当。
東京都環境科学研究所研究員などを歴任し、ヒートアイランド対策に従事。
東京都環境局自然環境部緑環境課課長代理を経て、現在、法政大学文学部地理学科准教授。 著書に「ヒートアイランドと都市緑化」がある。

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