こだわりMy Style日曜日の家 Vol.016

ゼロエネルギー住宅(通称ZEH(ゼッチ)=Net Zero Enargy House)という言葉をご存知でしょうか。
昨今、2014年4月に国が設定したエネルギー基本計画の目標に向かって、
住宅に対しての取り組みが大きく動いています。
住宅とエネルギーをとりまく未来について、
資源エネルギー庁のZEHロードマップ検討委員長も務めた、 芝浦工業大学の秋元孝之教授にお聞きしました。

ZEHのイメージ:写真提供
芝浦工業大学
ZEHとは、高断熱住宅に省エネ設備と太陽光発電などで創ったエネルギーを組み合わせることで年間に消費する化石エネルギーの量がおおむねゼロになる住宅。
健康と地球にやさしい
理想的なエコ住宅を考える
国策として動き出した
ゼロ・エネルギー住宅

 政府の発表では、2020年までには注文戸建住宅の過半数で、2030年までには新築住宅全体の平均でゼロ・エネルギーを実現しようということが掲げられています。これまで右肩上がりが続いてきた業務用と家庭用のエネルギー消費を抑えることが日本の課題であり、それを解決するためのさまざまな補助事業、補助金が提供される仕組みが整いつつあります。これらを活用し、ゼロ・エネルギー住宅がますます普及することが期待されています。
 さらに注目したいのが、ZEHビルダー制度です。これは、ハウスメーカーや工務店、設計事務所、リフォーム業者などが受注する住宅のうちゼロ・エネルギー住宅が占める割合を2020年までに50%以上にする目標を掲げ、実践するための登録制度です。現在、日本全国で約5,800社がZEHビルダーとして登録されています。経済産業省の資源エネルギー庁が提供している補助金は、このZEHビルダーに登録している事業者が手がけた住宅にしか適用されないため、住宅を新築する際は参考にしてください。

一般的なZEHの仕組み
省エネだけではなく
さまざまな恩恵が期待できる家に

 ゼロ・エネルギー住宅に住むことのメリットは、単に光熱費が削減できるだけではないと秋元教授は言います。 「ゼロ・エネルギー住宅はエネルギー効率が良く、光熱費などのコストが抑えられる、健康で快適な生活が送れるという利点があります。例えば住んでいる人の活動量が多くなる、小さなお子さんが勉強しやすい、健康寿命が伸びるといったデータがあります。」
 さらに、環境性能が高いことで、不動産価値も高くなることが期待されています。これまで中古住宅市場は、日本では活性化していない印象がありますが、環境性能を総合的に評価するCASBEE(建築環境総合性能評価システム)やエネルギー消費量を算定するBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)などが活用されるようになり、高得点をとった住宅は中古でも高く売れる、あるいは安心して購入ができるようになると言われています。
 また、大学と民間企業が連携し、実際にゼロ・エネルギー住宅を建て、住宅の環境・エネルギー性能の測定・実証や展示を通じてゼロ・エネルギー住宅の普及啓発を行う「エネマネハウス」というイベントも開催されています。

写真:2014年のエネマネハウスのコンペティションで優秀賞を受賞した
「母の家2030-呼吸する屋根・環境シェルターによるシェア型住宅スタイルー」、2015年のエネマネハウスのコンペティションで見事最優秀賞に輝いた「継ぎの住処(つぎのすみか)」。2014年、2015年の作品ともに、実際に建てて一般に公開した人気投票では、その空間の心地よさを評価されどちらも1位を獲得。2014年、2015年のエネマネハウスのコンペティションでは、秋元教授が学生たちの指導にあたった
快適性を享受するために賢い住まい手になる

 「ゼロ・エネルギー住宅は、化石燃料を多く使わずに太陽光などの自然エネルギーを活用します。よって高気密・高断熱であることに加え、高性能な設備機器を利用して生活することになります。例えば、家庭で使うエネルギーを「見える化」して管理できるHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入や、温度や湿度、人感などさまざまなセンサーから集めた情報を人口知能が分析しフィードバックする技術なども実用化されようとしています。また省エネルギーかつ快適な環境を実現することができる「スマートウェルネス推奨家電」を使用するのもおすすめです。
 ただ、ゼロ・エネルギー住宅はそういった仕組みを理解しながら、窓を開けて通気を良くしたり、日光を取り入れたりというように、住んでいる人もアクティブになる必要があります。HEMSなどで使用エネルギーを見える化し、いろいろな情報を理解して使える賢い住まい手になることが大切です」

2030年までに40%の省エネが目標

 「日本は国際公約として、2030年までに家庭部門で40%(2013年比)の省エネをすることになっています。しかし新築住宅だけではC02の削減目標にまだまだ足りません。将来的には戸建住宅だけではなく、アパート・マンションの共同住宅のゼロ・エネルギー化や、5000万戸ある中古住宅の対策も必要です。昨今、リフォームの意識もだいぶ変わってきていて、国や団体が省エネ改修のメニューを公開し、パンフレットや設計資料も充実してきています。また、省エネルギー性能に優れた家を表彰するハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー(一般財団法人日本地域開発センター)にも、毎年多くの住宅事業者さんが応募していますから、ゼロ・エネルギー住宅は今後ますます広まっていくでしょう。」

秋元
孝之(あきもと たかし)先生

秋元 孝之(あきもと たかし)先生
1963年、東京都生まれ。1988年早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻修了。
カリフォルニア大学バークレー校環境計画研究所に留学。博士(工学)、一級建築士。
清水建設株式会社、関東学院大学工学部建築学科を経て、現在、芝浦工業大学建築学部建築学科教授。
2014年スマートウェルネス住宅研究開発委員会、エネルギー・情報設備部会主査ほか、国のエネルギー政策に関与。

参考・・・ZEHビルダー一覧 一般社団法人環境共創イニシアチブホームページより

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