発見!明日のエネルギー 「でんき未来教室」 Vol.13

近年、VRという言葉がメディア上を賑わせています。
VR(Virtual Reality)は、コンピュータによって作り出す世界を、
ヘッドマウントディスプレイなどで見る仮想現実です。
今、このVRの技術がスポーツの世界でも大活躍。
能力向上のキーになるVRのポテンシャルをご紹介します。

VR・ARの活用例。ARで作られた世界の中を走れる最新のトレーニング施設と、ヘッドマウントディスプレイを装着してトレーニングする野球選手。
わくわくする未来を創造するVRの世界
VR技術映像を活用した世界最先端のワークアウト

 今年の3月、渋谷にVRを取り入れた新感覚のワークアウトスタジオが誕生し、大きな話題を呼びました。仮想空間の中をサイクルマシンで走るVR Cycle「THE TRIP™」は、大型スクリーンをスタジオ内に設置。そこに4Dアニメーションの立体映像を映し出し、世界を冒険しているような感覚でトレーニングすることができます。エンターテインメント性に加え、参加しているメンバーが同時にその世界を体験することでチーム意識が生まれ、よりトレーニングに集中できるなど、VR映像を取り入れることで、いくつものシナジー効果を生んでいます。

映画館のようなスクリーンを持つワークアウトスタジオ「CYCLE&STUDIO R Shibuya」の様子。4Dアニメの映像を見ながら、たくさんの仲間とワークアウトを楽しめる。
プロ野球でも大活躍!VRを利用したトレーニング

 スポーツの世界では、モータースポーツやアルペンスキーなどで実際のコースを体感するシミュレーターが早い段階から利用されていました。これにVR技術を導入することでより効率的なトレーニングが可能になります。そんな一例が、東北楽天ゴールデンイーグルスが導入したVRによるバッティングトレーニングシステム。実際のピッチャーの映像と球筋をデータ化し、対戦前にVR用のヘッドマウントディスプレイをかけて、対戦当日の投手の球種や球筋を体感した上で試合に臨むことができます。選手からも「本物の投手の球に近い」と好評のようです。

場所をあまりとらずに、実際の試合に近い感覚で体感できるVR

 この製品を開発した株式会社NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部の馬庭亮太さんに、開発のきっかけをお伺いしました。
 「NTTでは、映像技術の研究の中で、VRをスポーツでどのように利用できるかを考えていたところ、バッターボックスから見た投球の映像をVR化したら何かに使えるかもしれないというところから始まりました」
 このプロジェクトは、楽天球団の協力を得て昨シーズンから実証実験を開始。ヘッドマウントディスプレイには実際のスタジアムの画像と投手の投球モーションが映し出され、現実とまったく同じ球速、球種、球筋を体感できるようになっています。ボールのデータは、トラックマンと呼ばれるメジャーリーグが採用しているレーダーを利用した解析システムのデータを活用。選手やスタッフの声をヒアリングしながら微調整を加え、今シーズンから本格的にチームで活用されています。

VRによるバッティングトレーニングシステムの画面。投球モーションは実際の映像を利用し、背景のスタジアムも常時アップデートされる。

 「ゲームセンターにあるようなエンターテインメント性の高いものは過去にもありましたが、このシステムはプロの選手でも使えることを大前提に作られています。対戦相手の先発投手のデータを随時更新することで、より実践に近いトレーニングが可能になっています」(開発にあたった同社技術開発本部 鈴木賢一郎さん)

直近のデータによる球種や球筋をVRで再現する

 このVRシステムは、バットを振ってボールに当てるのではなく、投手の球速、球種、軌道を試合に近い環境の中で体感するのが目的。そこが、生活者がゲームで楽しく使うシステムとトップアスリートが使うシステムの大きな違いです。すでにメジャーリーグの球団がこのVRシステムに興味を示しているなど、VRトレーニングが一般化するのもそう遠くないかもしれません。

VRがスポーツだけでなくライフスタイルも変えていく

 プロ野球の選手にも使われるようになったVRですが、今後、VRの技術はどのような使われ方をするのでしょうか。
 「VRの技術だけでなく、ヘッドマウントディスプレイの技術も進み、装着もしやすくなっていきます。1家に1台VRという時代が来て、それを使ったサービスが至るところから行われるようになるでしょう」(前出 馬庭さん)

 例えば住宅のカタログをVR化して、画面上で新しい家の中に入ったり、扉を開けたりする技術も登場しています。近い将来、家や車をVRで体感して買い物をしたり、自分の部屋にいながら世界中の建築や美術館に訪れることができるようになる日がくるかもしれません。
 馬庭さんは、「2020年に行われる東京オリンピックがVR技術によって、過去に例を見ない大会になる」と予測しています。VRは、野球だけでなく、サッカーやバスケットボールなどでも利用され、相手選手をどうディフェンスするのか、リアルな動きを見ながら対策を立てられるトレーニング開発にも活用されるでしょう。こういったVRを活用したトレーニングが、東京オリンピックで日本がより多くのメダルを獲得する一助になるかもしれません。
 また、トレーニングだけではなく、試合を観戦するという面でも、VRの技術により、会場に行かなくても会場にいるかのように臨場感たっぷりに観戦できる。そんな時代がまもなくやってこようとしています。

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