「意外に知らない電気代」Vol.3
洗濯乾燥機は電気代が心配?
ヒートポンプ式やヒーター式などタイプ別に電気代を比較
冬は洗濯物が乾きづらく、お困りの方も多いのではないでしょうか。そんな時に便利なのが洗濯と乾燥機能が一体になった洗濯乾燥機。洗濯物を外に干す手間から解放されたり、雨の日や雪の日でも天候に左右されず乾燥まで一気に出来るため、とても便利です。しかし、その分洗濯乾燥機は電気代が高いのでは?と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

一口に洗濯乾燥機といってもいくつかのタイプに分かれており、電気代もタイプによって異なります。今回は各タイプ別の電気代と特長についてご紹介します。
縦型の洗濯機にも乾燥機能付はある? ドラム式との違いとは
一体型の洗濯乾燥機というと、ドラム式をイメージされる方が多いかもしれませんが、縦型の洗濯機にも乾燥機能付きの製品はあります。
しかし、乾燥機能の点では、洗濯物を上げて落とすことができるという構造上の利点があるドラム式が優れていると言われています。また、縦型には電気代が安いヒートポンプ式の乾燥機能が付いた機種はありません。(ヒートポンプ式の概要については後述します)。
なお、カタログに「送風乾燥」や「風乾燥」といった言葉で明記された機能が付いた洗濯機もありますが、これらは、あたたかい熱源となるヒーターやヒートポンプを用いてはいないため、脱水後の洗濯物を完全に乾燥させることはできませんのでご注意ください。
洗濯乾燥機でも熱の発生方式により電気代が異なる
次は、洗濯乾燥機の種類ごとのメリットやデメリットをご説明します。
ヒートポンプ式
ヒートポンプ式は空気中の熱を利用して効率よく温風を発生する仕組みです。洗濯槽内が除湿された状態で衣類を乾燥させます。温風の温度は約60℃以下と低めのため、衣類が傷みにくいといったメリットがあります。ヒートポンプという仕組みを使って電気で直接熱を発生させるわけではないので省エネで、電気代も安くなります。
ヒーター式(水冷除湿タイプ)
電気ストーブのようにヒーターで温風を発生させ、乾燥させるのがヒーター式。ヒートポンプ式より高温になるため、衣類は比較的傷みやすいと言われていますが、タオルなどをカラッとあたたかく仕上げることができます。電気代はヒートポンプ式より高くなります。
乾燥時に出た水蒸気を冷水を用いて除湿するタイプを、水冷除湿タイプと呼びます。このタイプは、乾燥時にも水を使うので水道代も必要になります。しかし、洗濯物の湿気を排気せず回収する仕組みなので、洗濯乾燥機を設置した部屋の湿度が上がるといったことがありません。
ヒーター式(排気タイプ)
「ヒーター式(水冷除湿タイプ)」とほぼ同じですが、排気の処理方法だけが異なります。
排気タイプでは乾燥時に出た水蒸気をそのまま機外へ排気します。水冷除湿タイプのように水道代が別途かかることはありませんが部屋の温度や湿度が上がってしまいます。
洗濯乾燥機のタイプ別に電気代を比較
タイプ別の電気代を具体的に、同メーカーの製品を並べて比較してみました。
ヒートポンプ式がヒーター式よりも電気代が低いことがわかります。
シャープ
メーカー型番 |
タイプ |
洗濯乾燥容量 |
洗濯・乾燥1回に かかる電気代 |
ES-G110 |
ヒートポンプ式:ドラム式 |
6kg |
17.8円 |
ES-H10B |
ヒーター式(水冷除湿タイプ):ドラム式 |
6kg |
50.8円 |
ES-PU11B |
ヒーター式(排気タイプ):縦型 |
6kg |
59.4円 |
(出典:シャープ「洗濯機 総合カタログ 2017-冬」)
パナソニック
メーカー型番 |
タイプ |
洗濯乾燥容量 |
洗濯・乾燥1回に かかる電気代 |
NA-VX9800L/R (2017年発売) |
ヒートポンプ式:ドラム式 |
6kg |
24.1円 |
NA-V1700L/R (2010年発売) |
ヒーター式(水冷除湿タイプ):ドラム式 |
6kg |
64.9円 |
NA-FW100S5 (2017年発売) |
ヒーター式(排気タイプ):縦型 |
5kg |
61.83円 |
(出典:パナソニック「洗濯機 総合カタログ 2017/冬」。「NA-V1700L/R」は同カタログ記載の年間電気代より算出。「NA-FW100S5」は同カタログ記載の消費電力量から算出)
*電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会による目安単価より、27円/kWhで計算
ヒートポンプ式の電気代は1回20円前後と、想像よりは低かったという方も多いのではないでしょうか。
浴室乾燥機の電気代とも比べてみよう
ところで、洗濯乾燥機の他に浴室乾燥機を使って乾燥する方法もあります。電気を使った浴室乾燥機には、洗濯乾燥機と同様にヒートポンプ式とヒーター式があります。ヒートポンプ式の方が省エネで電気代は低く抑えられます。
メーカーのサイトに掲載されていた電気代を以下にまとめてみました。洗濯乾燥機における「洗濯~乾燥」の電気代とは単純な比較はできませんが、洗濯乾燥機より電気代がかかるのがわかります。
パナソニック
メーカー型番 |
タイプ |
洗濯乾燥容量 |
洗濯・乾燥1回に かかる電気代 |
FY-18UXT1 (2011年発売) |
ヒートポンプ |
6kg |
約48円 |
FY-13UGT4D (2011年発売) |
ヒーター |
6kg |
約174円 |
(出典:パナソニックのサイト「ヒートポンプ式 サニタリー&バスコンディショナー」紹介ページ)
*電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会による目安単価より、27円/kWhで計算
浴室乾燥機の電気代は高めですが、洗濯乾燥機で乾燥にかけられない衣類にも利用できたり、ハンガーにかけた状態で乾燥できるなど、利便性が異なります。
用途と利用頻度に合わせて選ぼう
洗濯乾燥機の電気代は、カタログ上ではヒートポンプ式で洗濯~乾燥まで1回25円前後。ヒーター式で1回60円前後ということがわかりました。コインランドリーの乾燥機を使うと10分100円~かかりますから、それと比べると随分安くはなります。
例えばタオルをたまに乾燥させる程度といった利用頻度であれば縦型、普段の衣類を毎日のように洗濯/乾燥するのであればドラム式のヒートポンプ式はいかがでしょうか。
また、縦型の洗濯乾燥機でもハンガーに吊るした状態で乾燥できるタイプや、ヒーター式でもメーカーによっては排熱を再利用するなどの工夫で電気代が安いものもあります。利用する用途や頻度にあわせてカタログをじっくり見比べてみてください。