「意外に知らない電気代」Vol.2
パソコンのスリープ時の電気代はいくら?
シャットダウンの場合と比べてみよう
世の中には、パソコンを使わないときにスリープ機能で済ますという人もいれば、必ずシャットダウンで電源をオフにするという人もいます。みなさまはどちらでしょうか?

スリープするかシャットダウンするか、そもそも利便性が異なるので単純な電気代の比較は難しいのですが、あえて電気代だけを考えるとどちらがお得なのでしょうか。とくにスリープ中の待機電力に注目しながら、この問題を考えてみたいと思います。
パソコンの動作状態(使用中、スリープ中など)を5つに分類
最初に、電力消費に関わるパソコンの「状態」にはどのようなものがあるのかを整理してみます。大きく分けると以下のようになります。
種類 |
動作状態 |
特徴 |
継続的 |
使用中 |
消費電力
使用しているアプリケーションによって異なる(CPUにどれだけ負担がかかっているかによる
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スリープ中 |
- ・Windowsの「スリープ」機能を使っている状態
- ・直前の作業内容を一時的にメモリーに保存しており、「使用中」の状態への復帰が早い
消費電力
モニター、本体のファン、ハードディスクなどの動作を停止し、使用中に比べ省電力状態になっている
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シャットダウン中 (電源オフ) |
- ・パソコンの電源をオフ(Windowsの「シャットダウン」を使用)にした状態
- ・電源をオンにし「使用中」の状態にするには、「スリープ中」から復帰する動作より時間がかかる
消費電力
最少の、待機電力がかかる
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一時的 |
起動 |
- ・パソコンの電源を、電源オフ状態からオンにした直後
消費電力
最も多くの電力を消費する
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シャットダウン |
消費電力
起動に次いで電力を消費する
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Windowsには一定時間入力がないときに自動的にスリープになる設定が用意されています。または、スタートメニューから行う電源操作に、「シャットダウン」「再起動」と並んで「スリープ」があり(Windowsのバージョンによりメニューは異なる場合があります)、これをクリックすればスリープ状態に入ります。
ノートパソコンでは、設定にもよりますが、カバーを閉じるとスリープに、カバーを開けるとスリープから復帰します。なお、スリープからの復帰時も一時的に多く電力を消費します。
パソコンのスリープ中の電力はどのくらい?
では、スリープ中はどのくらいの電力を消費しているのでしょうか。
パソコンメーカーでは、自社で販売しているパソコンの「仕様」の中で、各製品の「消費電力」を公開していることがあります。消費電力は「標準時」「最大時」「スリープ時」の3つが記載されています。

*FUJITSUのノートパソコン「LIFEBOOK AHシリーズ[AH77/B3]」の仕様一覧ページより
ここで示されている「消費電力」は、各メーカーがJEITA(電子情報技術産業協会)の定める方法に沿って測定した結果です。あくまで平均の消費電力であり、一般家庭や会社で使う場合とは、使用するアプリケーションや接続している周辺装置などの条件が異なっていることに注意してください。
上記製品からスリープ中の電気代を算出すると、1時間で0.0162円(消費電力0.6Wとした場合)ということになります。なお、デスクトップはノートパソコンよりも消費電力が若干高い傾向にあります。
※電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会による目安単価より、27円/kWhで計算。
節電のためにはスリープ? シャットダウン?

さてスリープさせるのと、シャットダウンするのとではどちらが節電になるのかという問題です。
単純な状態ではスリープ状態より電源オフの状態の方が電力を消費しないことは明らかです。ただし、上述のように、シャットダウン時と起動時は通常より多くの電力が使われます。そのため頻繁にシャットダウンと起動を繰り返すと、トータルで消費される電力が多くなってしまいます。通常、長時間パソコンを使わないときはシャットダウン、短時間席を離れるときはスリープを使ったほうが節電になるといえます。
それでは、スリープのほうが節電になる「短時間」とは何分なのでしょうか。これについては、残念ながらパソコンによって違うとしかいえません。2010年に日本マイクロソフトが公開した資料では、Windows
7の場合、「90分以内の離席ならスリープを使ったほうがお得」という結果が示されたこともあります。しかし、これもWindows 10や、節電性能がアップした現在のパソコンに当てはめると事情が異なります。それでも目安として、数時間単位で使わないなら、シャットダウンのほうが節電になるとはいえるのではないでしょうか。
スリープにはシャットダウンしたときよりも素早く復帰できるメリットがあります。また、Windowsの更新時や、パソコンでテレビの録画を予約しているときは、自動的にスリープ状態から復帰してそれらの作業をやってくれるのも便利です。
そうした機能も考慮に入れつつ、スリープとシャットダウンを使い分けるのが、結局のところ、賢い両者の利用方法ということになりそうです。